FXのひとりごと

 

円の実効為替レート

米国はドル円相場に沈黙を守り続ける一方、日本は政府をはじめ“円高対策”と声高になっています。実はある意味、日本は「円高を容認せざるを得ない理由」があります。それは「実質実効為替レートは円高ではない」ということです。

 

FXにおける実効為替レートとは、特定の2通貨間の為替レートを見ているだけでは分からない為替レート面での対外競争力を単一の指標で総合的に捉えようとするものです。この実効為替レートには“名目Nominal”と“実質Real”があり、レート表記方法はある一定時期を指数として指数が大きくなった場合が“円高”、小さくなった場合が“円安”を示します。ちなみに名目と実質の違いは物価変動要因を含んでいるかいないかになります。日本の名目実効為替レートが不変でも貿易相手国、または地域の物価上昇率が日本の物価上昇率を上回っている場合には日本の円安方向に働きます。こうした点を考慮に入れた物価調整後の実効為替レートが「実質実効為替レート」です。

 

円と主要な他通貨間のそれぞれの為替レート(名目為替レート)を当該相手国、または地域の物価指数に対する日本の物価指数との比を乗じて実質化(実質為替レートを算出)した上で、それぞれの実質為替レートを貿易ウエイト(貿易の比率)で加重幾何平均して基準を決めて指数化しています。

 

名目はあくまでも名目なので、当然のごとく1973年=100とすると「円高」に推移しています。しかしながら、インフレ・ファクター(物価調整)を行った実質ではプラザ合意後の1980年代後半の円高局面や円の史上最高値を付けた1995年(これがピークの赤印)から現在を比較すると25%ぐらいは「円安」の状態なのです。これはとにもかくにも“日本がデフレ”であることが大きく影響しています。もちろん、採用期間1973年からの比較という要因もあります。

 

米国は明確には表明していませんが輸出促進と雇用改善が目的であるため、ドル安政策がその政策の根幹にあり、中国に対しては明確に人民元高へ移行せよと迫っています。仮にもし1995年水準の実施円高になるとして、現在の為替レートを単純に25%で掛け直すと67円ぐらいの数字になります。米国当局者や欧州当局者もこの数字を把握していると同時に支持している識者も大勢います。日銀や財務省といった日本の政策当局もこの事実があることから、日米協調体制が取り難い一つの材料と言えます。今日も第2四半期のGDP改定値が発表されましたが、GDPデフレーターは相変わらずの数字になっていますが、果たしてそれで成長と言えるのでしょうか…。

名目実効為替レート

名目実効為替レート

実質実効為替レート

実質実効為替レート

FX(外国為替証拠金取引)上達への道

15年ぶりの円高が到来していることで各業者が配信するFX情報などでは日銀の為替介入についての報道がされることが多くなっています。こうしたニュースを見ると“介入をする・しない”の判断は日銀が行っているように見えますが、日銀は政府(財務大臣)の指示に従って介入を行うにすぎません。たまに市場に流れる日銀のレートチェックなども日銀の判断ではないといえます。

 

日銀のホームページを見ても為替介入に関する説明はありますが介入額などの公表はありません。データの公表は財務省が行っていて毎月月末の19時に「外国為替平衡操作の実施状況」という形で発表しています。このことからも介入の主管が財務省(大臣)にあることがわかります。では“中央銀行の役割は何か”ということですが、主管は金融調節を通じた物価の安定となり、その他では決済システム・市場基盤の安定、銀行券・貨幣の発行・管理、国庫・国債・対政府取引、国際金融、調査・研究・統計、対外説明・広報であり、景気対策や為替変動への対応は行っていません。このため、日銀総裁は為替の水準や介入についての発言を行うことは原則的にありません。米国では例外的にFRB議長が為替の水準について話すことがあります。

 

外国為替市場では、インターバンクのプロップディーラから個人投資家までいろいろな人が参入して相場を形成しており、そして価格の変動は平等です。10年取引している人も昨日から取引した人も同じで為替レートは「上昇する」「下落する」のどちらかしかありません。上昇するか下落するかは10年選手でも20年選手でもわかりません。ただ、市場の心理がどちらに傾いているか、市場が何に注目しているかなどはレポートやFX 自動売買によるシステムトレードなどで把握できるので、こうしたものから市場の心理をつかんでおき、テクニカル分析を加味して「買う」「売る」「見送る」の判断をすれば、仮に予想が外れたときでもそれほど大負けはしないと思います。